民家 リノベーション」タグアーカイブ

構造補強の桧丸太梁/兵庫県川西市古民家再生工事

兵庫県川西市で工事中のE様邸再生工事。

着工前の調査の段階で、リビングになるべき部屋の上部梁に、大きな鉄骨梁が沿わせてあることが判明しており、その鉄骨梁を抜くために新たな桧の化粧梁を入れました。

まずは材料の選定。

現場にて母屋・梁などの既存構造材のレベル(=高さ)を測定し、それらをきれいに受けるためにはどのくらいの曲がりが必要なのかをまず図面(矩計図=断面詳細図)で検討します。

残念ながら、今回の現場にピタッと合う曲がり・長さの桧丸太は東風在庫の中にはなかったため、いつもお世話になっている三田市の西元製材所さんへ相談。

するとまさに太さも曲がりもピッタリの、長さ7mの桧丸太が西本さんの倉庫の一番奥に眠っていました。
しかも伐採後1年くらい寝ていたようで、乾燥も申し分なし。
その日に製材して側面に面(ツラ)をつけてもらいました。goronbo2013_01

↑ 製材した時の様子。
こうやって見ると、結構曲がってますね。

さすがに6mも長さがあると、大人4人でも持ち上げるのがやっとの重さです。
(末口φ270、元口φ420でした)
当然レッカーなどは使えないので、トラックから降ろすのも現場内に搬入するのも人力のみ。
外で刻んだら室内に搬入するだけで傷まみれになってしまいそうだ、ということで、室内で刻むことになりました。

 

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↑ まずは丸太梁を八角形断面になるまで、電気鉋で荒削りします。

 

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現物を見ながら、丸太の仕口や高さなどを相談する大工さん。

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背の曲がりで2階床梁(胴差し)と交差する仕口部分では、並列する別フレームに地震力の伝達をしてくれるようにしたいという趣旨を説明したところ、デベソのようなホゾを作ってくれました。

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下屋の桁(けた)と丸太梁元口の仕口。
既存下屋の桁が細く、また屋根は触らないため、下から掬い上げて柱で突っ張る納まりにしました。

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↑ 梁を設置する際には、大屋根の登り梁にかけたチェーンブロックで吊り上げて施工しました。

 

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完成したところ。

末口の端部は、太い柱にせずに2本の細い柱で挟み込んで間を透かした形にしました。
こういう納まりはあまり一般的なやり方ではありませんが、柱の断面欠損や他の梁とのからみなども考えて、今回はこの形にしました。

上に架かっている太い梁は松で太さが450mmくらいあります。
今回設置した桧の丸太梁は、吹抜けのあるLDKのど真ん中を渡っている格好になる象徴的な梁ですが、手が届くような低い位置にあるので、節も少ない木を選び、八角に削ることで端正な表情に仕上げました。

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サイトに物件事例ページを追加しました/神戸市 i 様邸増改築工事

毎日強烈な暑さが続いていますが、みなさまお変わりないでしょうか?
くれぐれも熱中症にはご注意下さいませ。

さて本日、東風の古民家再生・リフォーム専用サイトに新たな物件事例紹介ページを追加しましたのでお知らせします。
2011年に竣工した、兵庫県神戸市i様邸の事例ページです。

もともとはi様の祖父母がお住まいになられていた、築後約40年を経ている建物ですが、2011年にi様ご家族が増改築されて住まわれるようになりました。
茶道をされていたおばあさまの影響か、玄関は瀟洒な造作が施されていたので、玄関と座敷部分はほぼ当初のままで残し、それ以外の部分は建て替えて1棟になるように増築した住宅です。

建築主の i 様も一緒に和歌山へ行き、原木の伐採に立ち会った
桧から作った大黒柱と床板と梁を使っています。

ぜひご覧になってみて下さい。

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↑以前の雰囲気のままのこした玄関内観

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↑増築したリビング内観

 

詳しくはこちら → http://mokuzo-renovation.com/kobe2.html

 

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100年経った姿をイメージする/兵庫県淡路市T様 民家再生・耐震改修工事

これまでにも何度か考えたことがありました。
今、自分たちがつくっている(新築の)建物が100年経ったらどうなるんだろう?ということを。

今、私たちがよく目にする(註:近畿圏)築100年以上の建物のほとんどは、新築の際にすでに古色塗装が施されていることがとても多いです。
(↑ 他の地方ではどうかよくわかりませんが)

しかし、今東風で作っている新築住宅では、通常古色塗装を施していません。
それで少し不安だったのが、
「100年後の姿が画像として具体的にイメージしにくい」
というものです。

100年以上もつかもたないか?ということについてはあまり心配しておらず、自信もありますが、100年後にどういう姿になるか?というところがちょっと想像できないという感じでした。

しかし、今年竣工した淡路市のT様邸・古民家再生工事を終えてみて、
具体的なイメージが自分の中に定着しました。

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上の写真がT様邸の内観写真で、築後約100年を経過しています。
T様邸は近畿圏内では珍しく、柱や梁などの構造体に古色塗装が施されていません。

竣工当時(100年前)の構造材が茶色くなっているのは、時間が経過して
日に焼けたためです。

そして明るい色の木材は、今回新しく建てた柱や床板など。
もちろんこれらの材には着色を施していません。

今回自分なりに感じたのは、新築時の建物としては、古色塗装しない方が後年になって改装した時に美しく仕上がりそうだ、ということです。

 

濃い色で古色塗装してある場合、新しく入れた木材と創建当初の木材との色の濃淡があまりにもきついことが多いため、着色すべきかどうかについては毎回迷います。

古材に合わせて着色すると、色合いは統一感が出てまとまりがよくなるのですがどうしても均一になりすぎ、ベタッとして表情が乏しくなります。

古民家再生の場合、現場ごとに色合いが違うため、なかなか難しいところなのですが新築する際には、今後もこれまでどおり古色付けはしない、ということを基本路線においてつくっていくことに自信が持てたことが、今年のとても大きな収穫でした。

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土壁の工程/兵庫県丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

丹波市のY様邸・民家再生現場では、大工工事とともに少しずつ土壁の左官工事も進んでいます。

荒壁が乾いた壁から貫伏せをし、さらに乾かしてから中塗りへと進めています。

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土壁は大雑把に言うと、下塗り/中塗り/上塗りの3層構成になっています。

( ↑ わかりやすくするために、あえてすごく大雑把な説明にしています。
確かに層としては上記の3層による構成になっていますが、
工程としては、貫伏せ・ちりまわり・底埋めなど、もっとたくさんの
手間がかかります。グレードによって手のかけかたも変わります)

上の写真で言うと、ひびが入っているところが荒壁(あらかべ)と言われる下塗りの層。
下塗り(=荒壁)の土は、粒子が粗くて粘度の高い土を使います。

また、一度に塗りつける土の厚みもそれぞれ違っていて、下塗り>中塗り>上塗りという具合に、工程が後になればなるほど塗りつける土の厚みも薄くなり、土の粒子も細かくします。

 

下の写真は中塗りが終わって扇風機で乾かしている壁を写したものですが、上の写真の荒壁の部分と比べると、土の粒子が細かい様子がお分かりになっていただけると思います。
(画像をクリックすると拡大できてより一層わかりやすいです)

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荒壁は塗り厚も大きいだけあって、水を多く含んでいるため、乾燥収縮の巾も大きく、ひびが入って割れてしまうというわけですが、粘度が高いのではがれずにちゃんと残ります。

現場で観ていると、荒壁もざくざくとした感じがなかなか良いのですが、中塗りが始まってくると一気に肌理が細かくなって緊張感が出てきます。

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おじいさんから受け継いだ家 竣工しました/淡路市古民家再生・耐震改修工事

築後約100年を経た淡路島の民家再生現場が竣工し、昨日写真を撮ってきました。
その一部をご紹介します。

現場が2月に始まってから工期も延びてしまい、クライアントのT様には色々とご心配をおかけしてしまいましたが、最終的には大変喜んで頂いた顔を観ることができて一安心しています。
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↑ 夕方の外観全景です。

 

次は玄関内観。

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玄関は左手の硝子戸は既存建具、天井も既存のまま。
右手の舞良戸は新設です。
何とかうまくまとまったようでよかった。

 

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↑ キッチンコンロ前のタイルはクライアント/T様の奥様が海のイメージでご自身で考えて、しかもご自身で貼られたものです。
すごくないっすか?

 

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DKに立って、吹き抜けに架かる階段を見たところ。
床は桧のフローリング(もちろん無垢材)
「ここだけは無節材にしませんか?」
と、クライアントのT様にご提案したのですが、
「いい材料を入れてくれたおかげで、ここだけ桧にしてホンマによかったわ~」
と喜んで頂けました。

手前右手の格子は極太の貫を入れ、化粧で細いタテ格子を入れた構造補強フレームです。

古材の床板はこの場所に元々張られていた松の床板。
全て一旦取り外して、大工さんが削り直した後で再度復旧してくれたものです。
再生前にはこの上にCFシートが貼られていて、接着剤まみれでした。
無事に生まれ変わって、材料も活きて、よかったよかった♪

 

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↑ 階段と2階廊下の手摺です。
すっきりと見えるように・・・ということを突き詰めた結果、大工泣かせの納まりばかりとなってしまいましたが、施工者/総合建築 植田の大工・佐藤さんが丁寧につくってくれたおかげで素晴らしい階段になりました。
本当にありがとうございます!

 

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↑ 2階寝室から小屋組みの丸太梁を見上げたところ。
材料は全て杉です。

淡路ではこういう杉丸太を小屋組みに使った建物が多いのだとか。
天井は丸太梁にヒカリツケだらけの杉羽目板張りですが、これだけで約1ヶ月かかっています。
ものすごく丁寧な仕事をしてくれた大工さんに感謝×感謝!

今回の改修前にはこの小屋組みが全て天井裏に隠れていたんですが、これが活かせてよかったなぁ・・・と、今になってしみじみ思います。

 

クライアントのT様、施工者の総合建築 植田のみなさま、東風スタッフ、みんなの力を合わせたおかげで、素晴らしい家に仕上がりました。

工事中はいろいろとT様にご心配をおかけしましたが、最終的に昨日本当に嬉しそうな表情を見ることができて、よかったなぁ・・・としみじみ思っています。

みなさま、ありがとうございました。
心より感謝申し上げます。

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古民家再生と古建具購入/兵庫県丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

兵庫県丹波市で進行中のY様邸 古民家再生工事では、2階に新しく設置する木製建具がたくさんあります。

ただ柱や梁などの構造材は古いままで、創建当初に施された古色塗りが残っているので、ここへ真新しい建具をたくさん持ってくると、見た目になじみにくいばかりでなく、かなり価格が高くなってしまいます。

そこでご提案したのが、古い建具を購入してきて設置する方法です。

新築物件の場合は、古い建具は建具巾の寸法が合いにくく、だからと言って建具を切り縮めたり大きくしたりするのにはかなり手間(=コスト)がかかるため、古建具をうまく使うのはなかなか難しいことが多いです。

 

しかし関西の古民家の場合は畳の大きさがほぼ一定だった(=規格化されていた)ため、建具寸法もそれに合わせてほぼ決まった寸法で作られていることが多く、古民家再生の場合は古建具を利用しやすいのです。

しかも、新しく建具を作ると板戸1枚あたり5-6万円かかってしまうところが、古建具を買ってくると2-3万円ですみます。
(註:材料や傷などの程度によって価格は変わります)

 

東風で古建具を探しに行く時にお世話になるのが、京都の井川建具店さん。
ものすごい数の古建具を常備されています。

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今回のY様邸で使う建具としては、格子が使われている間仕切り建具を中心に探してみました。

部屋を暗くしたくなかったため、というのがその理由ですが、個室を仕切る機能も果たしてもらわなくてはならないので、紙障子では少し物足りず、一部が板張りになっているものをピックアップしたというわけです。

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↑ こんなものや

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↑ こんなものなどです。

先週現場で行われた定例打合せの際に、Y様に写真をお見せして、デザインや機能がお好みに合うかどうかを確認したところ、概ねこの方向で問題ない、とのこと。

今回探した上記の建具は、残念なことに必要枚数が少し足りなかったので、建具の大きさや必要枚数などを井川建具さんに伝えておいて、次回仕入れの際に良さそうな建具があったら取り置きしておいてもらえるようにお願いしてきました。

いい建具が入ってくるといいなぁ・・・。

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竹小舞下地に荒壁をつけました/丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

兵庫県丹波市内で進んでいる、Y様邸古民家再生工事。

今週現場へ行ったところ、すでに編めていた壁の竹小舞下地に荒壁(あらかべ)がつけられていました。
荒壁とは、下塗り用の土です。

下の画像は、塗りつける前に現場内で寝かせて熟成(?)させている壁土の様子です。

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今回の荒壁は、古民家を解体した際に出てくる古い壁土を残しておいたものを使っているため、真新しい土だけを練って置いておく場合に比べて、こなれるのが早いです。
色もすぐにグレーに変色していました。

 

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上の写真2枚は、荒壁を片面だけつけた壁下地(裏側)の状態。
写真だけではちょっとわかりにくいですが、竹と竹の間から、塗りつけられた壁土が少しはみ出しています。

下の写真は、塗りつけた面を撮影した写真です。
良くこなれた土なので、色がすっかりグレーになっています。

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荒壁表面の様子(↓)

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今回片面のみ塗りつけた荒壁が乾燥したら、次に裏返しといって反対側から荒壁を塗りつけます。
おそらく裏返しができるのは3週間くらい先かな。

その時に塗りつけるための荒壁用の土が現場内のプールに仕込まれていました(↓)。

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この土も解体工事の際に出てきた古い土を使っているそうですが、この土は練り合わせてからまだ1日しか経っていないそうなので、普通の土の色をしていました。

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想定外の構造補強と設計変更/丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

兵庫県丹波市で進行中のY様邸/古民家再生工事について。

昨日書いた記事では1階床組のことについて採り上げましたが、同時に2階では既存天井・壁の撤去工事が行われました。

 

このお宅は築後約80年を経ているとのことなのですが、母屋の2階はどうやら30-40年前の改修工事で天井が張られた模様で、これまで主に納戸や物置として使われていました。

今回はY様ご家族が1棟に2世帯で住まわれることになるため、2階を収納スペース→居住空間につくりかえる計画です。

まずはこれまでに張られていた2階の天井を剥がし、構造体を露出させます。

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↑ 解体前には、赤線の位置に天井が張られていました。

壁や天井に張られていたベニヤなどの新建材を剥がしてみると、前回のリフォームの際に構造材をハツリとって傷めていた部分があることもわかってきました。

そこで当初の計画を若干変更。

ハツリ取られて弱くなってしまった梁の、荷重がかかっているポイントを支えてあげられるように、新たに柱を新設することにしたり、それに伴って当初予定していた片引き戸の出入口の位置を変更したり。

他の農家型古民家でも良く見られるケースですが、この家の2階も、天井高さ=1.8M~2.0Mくらいの狭苦しい空間でした。
その既存天井を取っ払い、最終的には小屋組み材(梁・桁・母屋など)を室内に露出させるデザインにします。

まだほこりをかぶっているのであまりきれいではありませんが、イメージ的には下の写真のような感じになります。

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2階の天井を撤去してみると、梁・桁の継ぎ手の位置も良くわかるようになってきました。

調査段階では天井裏に潜れなかった箇所もありわからなかったのですが、先ほど一部がハツリ取られていた桁行き方向の梁は、実は長さ10Mの1本物だったことにY様の奥様が気付かれました。
(↑ 僕より先に奥様の方が気付かれました。すごい!)

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古民家の再生工事においては、解体工事が進むにつれて、いろんなことが見えてきます。
もちろん着工前に可能な限り調べてから工事に臨むのですが、どうしても調べきれないところもあります。

何か想定外の問題点などが出てきた時に、工事をスムーズに進められるように調整することも設計者の役割のひとつですが、工事中にいつも現場にべったりへばりついていることができない我々設計者にとって、信頼できる施工者(=工務店さん)が工事をしてくれていることは大変心強く感じます。

今回施工を担当して下さっている有限会社すぎもと工務店さんの杉本社長とは、ずいぶん以前からボランティアの活動を通して気心が知れているので、そのあたりはすごくやりやすいです。

クライアントのY様、すぎもと工務店のみなさま、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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1階床組材の解体とやりかえ/丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

丹波市・Y様邸/古民家再生工事の現場では、先週から母屋の改修工事を優先的に進めています。

Y様邸の母屋は、近畿地方の農家に多い、田の字型プラン・四つ間取りの平面形式なのですが、その四つある和室のうちの2つを、来週から居室としてY様ご一家がお使いになることになったためです。

 

このことが決まってから、まずは大工さんに床組みの解体に取り掛かってもらい、足固め部材の状態を確認してみました。

設計段階でも、僕が床下に潜って足固めをコンコン叩き、木材の状態を確認していたのですが、やはり解体してもう少し詳しく確認してからでないと、最終的にとりかえるか/そのまま活かすか、の判断はできません。
なにしろ今回取り替えなければ、おそらく向こう30年間は取り替えないことになるだろうからです。

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今回、大工さんにお願いして床板を剥がして根太と敷居を撤去してもらい、足固めを丸裸の状態にして、上から、下から、右から、左から叩いて調べてみたところ、やはり足固め下端の白太(しらた)部分が腐ってグサグサになっていました。(上画像 赤↑部)

樹種は国産の桧でしたが、樹齢の若い木でしたから、まぁ仕方ないかな・・・という感じです。
こういうのを目の当たりにすると、やはり100年前後かそれ以上経過した、高齢の木を使うべきだなぁと実感します。

そこで基本的には全ての足固めを取り替えることになり、桧/背7寸の平角材を工務店さんに手配してもらいました。

下の画像は、床組み材の撤去を進めながら、床束を支えるための束石を据え終えたところの状況写真です。

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今ご紹介したのは、母屋/1階の話。
次にご紹介するのは、母屋/2階の話です。

と、ここまで書いたところで予想以上に長い文章になってしまったので、続きはまた。
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古民家再生工事と記憶の継承/丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

今日は終戦記念日ですね。

命懸けで日本を守ろうとして犠牲になられた皆様のご冥福を、心よりお祈り致します。

 

兵庫県丹波市で、7月からY様邸・古民家再生工事が始まっています。

遠隔地(当方事務所から現場までは車で1時間半)なので、東風では設計・監理業務だけをお引き受けして、施工は現場に近い有限会社すぎもと工務店さんにお願いしています。

週1回のペースで現場へ行って、施主のY様・すぎもと工務店さんと東風の3者で打ち合わせをしたり、現場の確認をしたりしながら進めています。

 

下の写真は現場での作業の様子です。
今、現場では、後年になって増築された水まわり棟の構造補強と、外壁・屋根の仕舞いが行われています。

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今進めている水まわり棟の解体工事を進めてみたところ、既存の柱が傷んでいたり、既存基礎がコンクリートブロックだったりしたこともあって、かなり多くの柱が新しく入れ替えとなりました。

新しく入れる構造材などは全て現場で刻んでいますが、炎天下でまだ屋根が完全にかかっていないところもある中での作業なので、大工さんが熱中症で体調を崩したりしないかどうか、傍で見ていると心配になります。

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解体工事を始めるまではわからなかったのですが、前回のリフォーム(約30-40年前)の時に、すでに腐って蟻害を受けていた柱や、お風呂の焚口の火が燃え移ったものと思われるぼやの跡なども見つかり、築後約80年を経ているこの建物のこれまでの来し方などが垣間見えてきます。

上記のような痕跡が出てきた場合は、Y様のご両親に現場を見てもらって以前の記憶を辿ってお話を伺い、その話を聞くことでY様にも記憶の継承をしていただく、こういったことも再生工事においてはとても大切なことです。

 

水まわり棟は、今回の工事でほんの少しだけ東へ広げることになったため、新しく庇を設けました。

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台風が来る秋口までには、屋根や外壁の仕舞いがつくと思います。

それまでは、どうか大きな台風が来ませんように・・・。

 
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