民家 構造」タグアーカイブ

【構造見学会開催】2018.08.04-05 築135年古民家@大阪市

大阪市東住吉区内にて再生工事中の、築後約135年を経た古民家・Sさま邸。
昨年の夏から工事に取り掛かり、約1年たちました。

解体工事から始まり、土塀のセットバック、
母屋のジャッキアップ・基礎工事~構造補強と屋根下地工事がほぼ終わり、
現在は、土塗り壁下地のための竹小舞編みと、電気配線工事を行っています。

今回、施主様のご厚意により、構造見学会を開催させて頂くことになりました。
ご興味のある方は、当方ホームページの問い合わせフォームから
お申込みの上、ご参加いただけますようお願いいたします。
(下記写真の後に詳細説明があります)

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structure_02 濃い色で着色されているのは既存の構造材、
塗装されていない木材は、今回新しくした構造材です。

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↑ 既存柱の根元が傷んでいたところは、金輪継ぎという
伝統的な継ぎ方を用いており、金物を使っていません

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構造材同士の緊結には、極力金物を用いずに、木製の込栓(こみせん)や
車知栓(しゃちせん)、雇ほぞ(やといほぞ)を用いています。


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土塗り壁の下地は、竹小舞を編んでいます。
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【開催日時/一般の方向け】
2018年8月4日(土)09:00~12:00 および 13:00~17:00
2018年8月5日(日)13:00~17:00

【開催日時/建築業界関係者(設計者・工務店・職人さん)の方向け】
2018年8月5日(日)09:00-12:00に限らせて頂きます

【開催場所】
大阪市東住吉区内
※現場の詳しい住所は、お申込み頂いた方へお知らせします

【注意事項】
・完全予約制とさせて頂きます。
・一般の方は、1時間に1組のみとし、先着受付します
・お子様もご参加頂けますが、工事中の現場のため、歩きにくいところもあります。
・お車でのご来場は可能です(現場に駐車場があります)
・建築業界関係者の方もご見学可能ですが、上記の決められた時間枠内のみとなります。
業界関係の方は、複数組で同時見学をお願いします

ご見学のお申込みは、下記事項をお書き添えの上
(株)木造建築 東風の問合わせフォームよりお申込み下さい。

・当日同行される参加人数合計
・当日の現場までの交通手段(車・公共交通機関)
・一般/建築業界関係者 いずれか

今回の見学会は、以下のような思いをお持ちの方にとっては、
きっとお役に立てると思います。

1.筋交いや合板を使わずに古民家を耐震補強したい。そのやり方を実際に見たい
2.石場建ての民家再生・構造補強の現場を見てみたい。
3.所有されている古民家の構造補強や再生について、専門家に相談してみたい
3.練り置きした壁土や、竹小舞下地を見てみたい
4.金物(ボルト等)を使わずに、ホゾや栓などで緊結した仕口・継ぎ手を見てみたい

どうぞよろしくお願いいたします。

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古民家再生と面皮となぐり-兵庫県川西市・築150年の古民家再生

兵庫県川西市で年末竣工に向けて古民家再生中。
大工さんが4人がかりで急ピッチで進めているのですが、ようやく先が見えてきました。

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写真は、玄関に新しく採り入れた面皮柱と壁留め丸太、化粧名栗の式台。
(断片的な写真しかお見せできず、スミマセン)

骨太の古民家の中で玄関だけは繊細な雰囲気にしてみようと、東風スタッフ・Oさんの提案で華奢な数奇屋の手法・材料を採りあわせてみたのですが、全く違和感なくすっと馴染んでお客様も大喜び♪

12/22(日)に1日だけ完成見学会を行う方向で調整中です。
正式にはまた改めてお知らせします。

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100年経った姿をイメージする/兵庫県淡路市T様 民家再生・耐震改修工事

これまでにも何度か考えたことがありました。
今、自分たちがつくっている(新築の)建物が100年経ったらどうなるんだろう?ということを。

今、私たちがよく目にする(註:近畿圏)築100年以上の建物のほとんどは、新築の際にすでに古色塗装が施されていることがとても多いです。
(↑ 他の地方ではどうかよくわかりませんが)

しかし、今東風で作っている新築住宅では、通常古色塗装を施していません。
それで少し不安だったのが、
「100年後の姿が画像として具体的にイメージしにくい」
というものです。

100年以上もつかもたないか?ということについてはあまり心配しておらず、自信もありますが、100年後にどういう姿になるか?というところがちょっと想像できないという感じでした。

しかし、今年竣工した淡路市のT様邸・古民家再生工事を終えてみて、
具体的なイメージが自分の中に定着しました。

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上の写真がT様邸の内観写真で、築後約100年を経過しています。
T様邸は近畿圏内では珍しく、柱や梁などの構造体に古色塗装が施されていません。

竣工当時(100年前)の構造材が茶色くなっているのは、時間が経過して
日に焼けたためです。

そして明るい色の木材は、今回新しく建てた柱や床板など。
もちろんこれらの材には着色を施していません。

今回自分なりに感じたのは、新築時の建物としては、古色塗装しない方が後年になって改装した時に美しく仕上がりそうだ、ということです。

 

濃い色で古色塗装してある場合、新しく入れた木材と創建当初の木材との色の濃淡があまりにもきついことが多いため、着色すべきかどうかについては毎回迷います。

古材に合わせて着色すると、色合いは統一感が出てまとまりがよくなるのですがどうしても均一になりすぎ、ベタッとして表情が乏しくなります。

古民家再生の場合、現場ごとに色合いが違うため、なかなか難しいところなのですが新築する際には、今後もこれまでどおり古色付けはしない、ということを基本路線においてつくっていくことに自信が持てたことが、今年のとても大きな収穫でした。

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古民家再生と古建具購入/兵庫県丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

兵庫県丹波市で進行中のY様邸 古民家再生工事では、2階に新しく設置する木製建具がたくさんあります。

ただ柱や梁などの構造材は古いままで、創建当初に施された古色塗りが残っているので、ここへ真新しい建具をたくさん持ってくると、見た目になじみにくいばかりでなく、かなり価格が高くなってしまいます。

そこでご提案したのが、古い建具を購入してきて設置する方法です。

新築物件の場合は、古い建具は建具巾の寸法が合いにくく、だからと言って建具を切り縮めたり大きくしたりするのにはかなり手間(=コスト)がかかるため、古建具をうまく使うのはなかなか難しいことが多いです。

 

しかし関西の古民家の場合は畳の大きさがほぼ一定だった(=規格化されていた)ため、建具寸法もそれに合わせてほぼ決まった寸法で作られていることが多く、古民家再生の場合は古建具を利用しやすいのです。

しかも、新しく建具を作ると板戸1枚あたり5-6万円かかってしまうところが、古建具を買ってくると2-3万円ですみます。
(註:材料や傷などの程度によって価格は変わります)

 

東風で古建具を探しに行く時にお世話になるのが、京都の井川建具店さん。
ものすごい数の古建具を常備されています。

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今回のY様邸で使う建具としては、格子が使われている間仕切り建具を中心に探してみました。

部屋を暗くしたくなかったため、というのがその理由ですが、個室を仕切る機能も果たしてもらわなくてはならないので、紙障子では少し物足りず、一部が板張りになっているものをピックアップしたというわけです。

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↑ こんなものや

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↑ こんなものなどです。

先週現場で行われた定例打合せの際に、Y様に写真をお見せして、デザインや機能がお好みに合うかどうかを確認したところ、概ねこの方向で問題ない、とのこと。

今回探した上記の建具は、残念なことに必要枚数が少し足りなかったので、建具の大きさや必要枚数などを井川建具さんに伝えておいて、次回仕入れの際に良さそうな建具があったら取り置きしておいてもらえるようにお願いしてきました。

いい建具が入ってくるといいなぁ・・・。

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竹小舞下地に荒壁をつけました/丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

兵庫県丹波市内で進んでいる、Y様邸古民家再生工事。

今週現場へ行ったところ、すでに編めていた壁の竹小舞下地に荒壁(あらかべ)がつけられていました。
荒壁とは、下塗り用の土です。

下の画像は、塗りつける前に現場内で寝かせて熟成(?)させている壁土の様子です。

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今回の荒壁は、古民家を解体した際に出てくる古い壁土を残しておいたものを使っているため、真新しい土だけを練って置いておく場合に比べて、こなれるのが早いです。
色もすぐにグレーに変色していました。

 

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上の写真2枚は、荒壁を片面だけつけた壁下地(裏側)の状態。
写真だけではちょっとわかりにくいですが、竹と竹の間から、塗りつけられた壁土が少しはみ出しています。

下の写真は、塗りつけた面を撮影した写真です。
良くこなれた土なので、色がすっかりグレーになっています。

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荒壁表面の様子(↓)

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今回片面のみ塗りつけた荒壁が乾燥したら、次に裏返しといって反対側から荒壁を塗りつけます。
おそらく裏返しができるのは3週間くらい先かな。

その時に塗りつけるための荒壁用の土が現場内のプールに仕込まれていました(↓)。

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この土も解体工事の際に出てきた古い土を使っているそうですが、この土は練り合わせてからまだ1日しか経っていないそうなので、普通の土の色をしていました。

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想定外の構造補強と設計変更/丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

兵庫県丹波市で進行中のY様邸/古民家再生工事について。

昨日書いた記事では1階床組のことについて採り上げましたが、同時に2階では既存天井・壁の撤去工事が行われました。

 

このお宅は築後約80年を経ているとのことなのですが、母屋の2階はどうやら30-40年前の改修工事で天井が張られた模様で、これまで主に納戸や物置として使われていました。

今回はY様ご家族が1棟に2世帯で住まわれることになるため、2階を収納スペース→居住空間につくりかえる計画です。

まずはこれまでに張られていた2階の天井を剥がし、構造体を露出させます。

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↑ 解体前には、赤線の位置に天井が張られていました。

壁や天井に張られていたベニヤなどの新建材を剥がしてみると、前回のリフォームの際に構造材をハツリとって傷めていた部分があることもわかってきました。

そこで当初の計画を若干変更。

ハツリ取られて弱くなってしまった梁の、荷重がかかっているポイントを支えてあげられるように、新たに柱を新設することにしたり、それに伴って当初予定していた片引き戸の出入口の位置を変更したり。

他の農家型古民家でも良く見られるケースですが、この家の2階も、天井高さ=1.8M~2.0Mくらいの狭苦しい空間でした。
その既存天井を取っ払い、最終的には小屋組み材(梁・桁・母屋など)を室内に露出させるデザインにします。

まだほこりをかぶっているのであまりきれいではありませんが、イメージ的には下の写真のような感じになります。

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2階の天井を撤去してみると、梁・桁の継ぎ手の位置も良くわかるようになってきました。

調査段階では天井裏に潜れなかった箇所もありわからなかったのですが、先ほど一部がハツリ取られていた桁行き方向の梁は、実は長さ10Mの1本物だったことにY様の奥様が気付かれました。
(↑ 僕より先に奥様の方が気付かれました。すごい!)

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古民家の再生工事においては、解体工事が進むにつれて、いろんなことが見えてきます。
もちろん着工前に可能な限り調べてから工事に臨むのですが、どうしても調べきれないところもあります。

何か想定外の問題点などが出てきた時に、工事をスムーズに進められるように調整することも設計者の役割のひとつですが、工事中にいつも現場にべったりへばりついていることができない我々設計者にとって、信頼できる施工者(=工務店さん)が工事をしてくれていることは大変心強く感じます。

今回施工を担当して下さっている有限会社すぎもと工務店さんの杉本社長とは、ずいぶん以前からボランティアの活動を通して気心が知れているので、そのあたりはすごくやりやすいです。

クライアントのY様、すぎもと工務店のみなさま、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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古民家再生工事が着工しました/丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

今月初旬から、兵庫県丹波市で築後約80年を経たY様邸・古民家の再生工事が始まりました。

現在は解体工事が進んでいます。
解体工事の対象となるのは、主に後年増築された部分の内装や、傷んできた床組み材の部分です。

どの現場でもそうなのですが、内装部材を撤去すると、これまでのこのお宅の変遷が見えてきます。

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黒く見えている部分上の画像で黒く見えている部分は創建当初のものと思われる構造部材。
一方、白木の無塗装木材は後年増築したと推測される骨組みです。

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上の画像はDKの小屋裏の写真です。
屋根の野地板が一部新しい板で葺きかえられているのは、おそらくどこかの時点で雨漏りがあったようです。
軒桁や梁の一部に傷みが見られると共に、それを補強するための措置がとられていました。

今回の工事で傷んでいる部材の取替えや補強工事などもきちんと行います。

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今回工事を担当して下さるのは、兵庫県西脇市の有限会社すぎもと工務店さん
社長の杉本さんは、日本民家再生協会の仲間です。

杉本さん、これからよろしくお願いします。
ほぼ毎週、木曜日にクライアントのY様ご夫妻も交えて、定例現場打合せ会議を行っていく予定です。

今後、ちょこちょこご報告していきますのでどうぞお楽しみに。

 

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