これまでにも何度か考えたことがありました。
今、自分たちがつくっている(新築の)建物が100年経ったらどうなるんだろう?ということを。
今、私たちがよく目にする(註:近畿圏)築100年以上の建物のほとんどは、新築の際にすでに古色塗装が施されていることがとても多いです。
(↑ 他の地方ではどうかよくわかりませんが)
しかし、今東風で作っている新築住宅では、通常古色塗装を施していません。
それで少し不安だったのが、
「100年後の姿が画像として具体的にイメージしにくい」
というものです。
100年以上もつかもたないか?ということについてはあまり心配しておらず、自信もありますが、100年後にどういう姿になるか?というところがちょっと想像できないという感じでした。
しかし、今年竣工した淡路市のT様邸・古民家再生工事を終えてみて、
具体的なイメージが自分の中に定着しました。
上の写真がT様邸の内観写真で、築後約100年を経過しています。
T様邸は近畿圏内では珍しく、柱や梁などの構造体に古色塗装が施されていません。
竣工当時(100年前)の構造材が茶色くなっているのは、時間が経過して
日に焼けたためです。
そして明るい色の木材は、今回新しく建てた柱や床板など。
もちろんこれらの材には着色を施していません。
今回自分なりに感じたのは、新築時の建物としては、古色塗装しない方が後年になって改装した時に美しく仕上がりそうだ、ということです。
濃い色で古色塗装してある場合、新しく入れた木材と創建当初の木材との色の濃淡があまりにもきついことが多いため、着色すべきかどうかについては毎回迷います。
古材に合わせて着色すると、色合いは統一感が出てまとまりがよくなるのですがどうしても均一になりすぎ、ベタッとして表情が乏しくなります。
古民家再生の場合、現場ごとに色合いが違うため、なかなか難しいところなのですが新築する際には、今後もこれまでどおり古色付けはしない、ということを基本路線においてつくっていくことに自信が持てたことが、今年のとても大きな収穫でした。