月別アーカイブ: 2012年8月

構造補強のためのはしごフレーム/兵庫県淡路市古民家再生・耐震改修工事

淡路市のT様邸・古民家再生現場では、木工事もほぼ終わりに近づいています。

仕舞のついた2階から、クライアントのT様ご夫妻が自分たちで内装の壁塗りをされています。

僕が週末に現場へ行った折には、2階の壁はほぼ仕上がっていました。
下の写真は、T様が1階のリビング壁面の下地処理(ビス穴のパテ埋め)をされているところです。

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本当は石膏ボードを使わずに、全て土壁下地にしたいところなのですが工期や予算面での制約もあることから、今回は壁下地に石膏ボードを使っています。

ただ、もともとの建物が土壁と木組みによる伝統構法型建物であることから、筋交いや構造用合板などを入れずに、要所の耐力壁には石膏ボードと貫を組み合わせ、構造体が全体に固くなりすぎないように設計しています。

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上の写真のように、もともと土壁が残っていたところは上塗りの漆喰を一旦こそげ落としてから、凹んだ部分は土で底埋めをして全体を平滑にし、その後下地調整を行ってから仕上げ材料を塗ることにしています。

 

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上の写真はダイニングテーブル脇に設けた、はしご型フレームをアレンジした格子です。

古い通し柱に添わせるようにして、大きめの貫を5段入れて耐力要素にしています。

 

既存の通し柱がちょっと細かったので、巨大地震の際には通し柱が折れてしまうかもしれないという懸念が、解体工事後の調査の際に出てきました。

そこで検討した結果、柱が折れても建物の安全性が担保されるように、2階の床梁を支える管柱を通し柱に添えて新設し、それを使ってはしご型フレームを構成しています。

縦方向に入れた細い格子は化粧材で、特に構造上の要素にはなっていません。

このはしごフレームはダイニングテーブルのすぐ脇にあるため、いくら構造補強のためとは言っても、あまり無骨な姿になっては味気ないと考えて、少し繊細な雰囲気になるように、縦格子を添えたものです。
今後も、毎週末に少しずつT様が壁塗りを進め、9月末ごろには建物が竣工しそうな感じです。

T様、暑いのであまり無理せずに作業を進めて下さい。
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自分たちで古民家の壁を塗る/兵庫県淡路市古民家再生・耐震改修工事

淡路市・T様邸 古民家再生工事の現場では、大工工事が終盤を迎えています。

DKにて打ち合わせ中のT様と、施工を請け負ってくださっている、総合建築 植田の植田さん。
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T様宅の内装壁のほとんどは、T様ご夫妻が壁塗り作業をされることになっています。

下の写真は、2階棟付近・妻壁のビス穴パテ埋め状況です。
パテ埋め・壁チリ周りのマスキング作業なども、全てT様ご夫妻がされています。

盛夏の折、熱気がこもりやすい2階での作業は大変です。
T様、あまり無理をなされませぬように。

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下の2枚の写真は、上塗りが終わった壁です。

壁の塗厚もあまりムラがなく、柱と壁のキワ(=チリと言います)も綺麗に仕上げられていて、とても丁寧に作業を進められている様子が、仕上がりの状態から見て取れます。

awaji_plaster08

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作業は2階から進めています。

まだまだ塗らなくてはいけない壁はた~くさんありますが、きっと素晴らしい家になると思います。
T様、無理のないように頑張ってください。
陰ながら応援しています。

 

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古民家再生工事と記憶の継承/丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

今日は終戦記念日ですね。

命懸けで日本を守ろうとして犠牲になられた皆様のご冥福を、心よりお祈り致します。

 

兵庫県丹波市で、7月からY様邸・古民家再生工事が始まっています。

遠隔地(当方事務所から現場までは車で1時間半)なので、東風では設計・監理業務だけをお引き受けして、施工は現場に近い有限会社すぎもと工務店さんにお願いしています。

週1回のペースで現場へ行って、施主のY様・すぎもと工務店さんと東風の3者で打ち合わせをしたり、現場の確認をしたりしながら進めています。

 

下の写真は現場での作業の様子です。
今、現場では、後年になって増築された水まわり棟の構造補強と、外壁・屋根の仕舞いが行われています。

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今進めている水まわり棟の解体工事を進めてみたところ、既存の柱が傷んでいたり、既存基礎がコンクリートブロックだったりしたこともあって、かなり多くの柱が新しく入れ替えとなりました。

新しく入れる構造材などは全て現場で刻んでいますが、炎天下でまだ屋根が完全にかかっていないところもある中での作業なので、大工さんが熱中症で体調を崩したりしないかどうか、傍で見ていると心配になります。

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解体工事を始めるまではわからなかったのですが、前回のリフォーム(約30-40年前)の時に、すでに腐って蟻害を受けていた柱や、お風呂の焚口の火が燃え移ったものと思われるぼやの跡なども見つかり、築後約80年を経ているこの建物のこれまでの来し方などが垣間見えてきます。

上記のような痕跡が出てきた場合は、Y様のご両親に現場を見てもらって以前の記憶を辿ってお話を伺い、その話を聞くことでY様にも記憶の継承をしていただく、こういったことも再生工事においてはとても大切なことです。

 

水まわり棟は、今回の工事でほんの少しだけ東へ広げることになったため、新しく庇を設けました。

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台風が来る秋口までには、屋根や外壁の仕舞いがつくと思います。

それまでは、どうか大きな台風が来ませんように・・・。

 
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