月別アーカイブ: 2012年9月

想定外の構造補強と設計変更/丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

兵庫県丹波市で進行中のY様邸/古民家再生工事について。

昨日書いた記事では1階床組のことについて採り上げましたが、同時に2階では既存天井・壁の撤去工事が行われました。

 

このお宅は築後約80年を経ているとのことなのですが、母屋の2階はどうやら30-40年前の改修工事で天井が張られた模様で、これまで主に納戸や物置として使われていました。

今回はY様ご家族が1棟に2世帯で住まわれることになるため、2階を収納スペース→居住空間につくりかえる計画です。

まずはこれまでに張られていた2階の天井を剥がし、構造体を露出させます。

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↑ 解体前には、赤線の位置に天井が張られていました。

壁や天井に張られていたベニヤなどの新建材を剥がしてみると、前回のリフォームの際に構造材をハツリとって傷めていた部分があることもわかってきました。

そこで当初の計画を若干変更。

ハツリ取られて弱くなってしまった梁の、荷重がかかっているポイントを支えてあげられるように、新たに柱を新設することにしたり、それに伴って当初予定していた片引き戸の出入口の位置を変更したり。

他の農家型古民家でも良く見られるケースですが、この家の2階も、天井高さ=1.8M~2.0Mくらいの狭苦しい空間でした。
その既存天井を取っ払い、最終的には小屋組み材(梁・桁・母屋など)を室内に露出させるデザインにします。

まだほこりをかぶっているのであまりきれいではありませんが、イメージ的には下の写真のような感じになります。

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2階の天井を撤去してみると、梁・桁の継ぎ手の位置も良くわかるようになってきました。

調査段階では天井裏に潜れなかった箇所もありわからなかったのですが、先ほど一部がハツリ取られていた桁行き方向の梁は、実は長さ10Mの1本物だったことにY様の奥様が気付かれました。
(↑ 僕より先に奥様の方が気付かれました。すごい!)

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古民家の再生工事においては、解体工事が進むにつれて、いろんなことが見えてきます。
もちろん着工前に可能な限り調べてから工事に臨むのですが、どうしても調べきれないところもあります。

何か想定外の問題点などが出てきた時に、工事をスムーズに進められるように調整することも設計者の役割のひとつですが、工事中にいつも現場にべったりへばりついていることができない我々設計者にとって、信頼できる施工者(=工務店さん)が工事をしてくれていることは大変心強く感じます。

今回施工を担当して下さっている有限会社すぎもと工務店さんの杉本社長とは、ずいぶん以前からボランティアの活動を通して気心が知れているので、そのあたりはすごくやりやすいです。

クライアントのY様、すぎもと工務店のみなさま、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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1階床組材の解体とやりかえ/丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

丹波市・Y様邸/古民家再生工事の現場では、先週から母屋の改修工事を優先的に進めています。

Y様邸の母屋は、近畿地方の農家に多い、田の字型プラン・四つ間取りの平面形式なのですが、その四つある和室のうちの2つを、来週から居室としてY様ご一家がお使いになることになったためです。

 

このことが決まってから、まずは大工さんに床組みの解体に取り掛かってもらい、足固め部材の状態を確認してみました。

設計段階でも、僕が床下に潜って足固めをコンコン叩き、木材の状態を確認していたのですが、やはり解体してもう少し詳しく確認してからでないと、最終的にとりかえるか/そのまま活かすか、の判断はできません。
なにしろ今回取り替えなければ、おそらく向こう30年間は取り替えないことになるだろうからです。

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今回、大工さんにお願いして床板を剥がして根太と敷居を撤去してもらい、足固めを丸裸の状態にして、上から、下から、右から、左から叩いて調べてみたところ、やはり足固め下端の白太(しらた)部分が腐ってグサグサになっていました。(上画像 赤↑部)

樹種は国産の桧でしたが、樹齢の若い木でしたから、まぁ仕方ないかな・・・という感じです。
こういうのを目の当たりにすると、やはり100年前後かそれ以上経過した、高齢の木を使うべきだなぁと実感します。

そこで基本的には全ての足固めを取り替えることになり、桧/背7寸の平角材を工務店さんに手配してもらいました。

下の画像は、床組み材の撤去を進めながら、床束を支えるための束石を据え終えたところの状況写真です。

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今ご紹介したのは、母屋/1階の話。
次にご紹介するのは、母屋/2階の話です。

と、ここまで書いたところで予想以上に長い文章になってしまったので、続きはまた。
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