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鶴首鏝(つるくびごて)で細い壁の仕上げ

先日、大阪市内のS様邸古民家再生現場へ行った時のことです。
玄関正面の飾り床の下にある、細~い壁の仕上げを左官屋さんがしてくれていました。

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上の写真の白矢印部分の細長い壁です。
(この写真では、あまりに細すぎてわかりませんね)

ここは壁が細すぎる&壁が凹んでいるので、普通の鏝(こて)が入りません。
しかも壁の一番裾(下)の部分なので、普通の態勢では作業がとてもしにくく、
こんな風に作業をして下さっていました
↓ ↓ ↓

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完全に寝転がっています。
でも別に怠けているわけではありません。
こうしないと見えないんです。

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塗りかける土を載せている鏝板(こていた)も、いつもは左手に持っているのですが、
今日は完全に床に置いています。

そしてここを仕上げるのに使っているのが、鶴首鏝(つるくびごて)という、ちょっと変わった形の鏝です。
上の写真で赤丸で囲んでいるのがその鏝です。
鶴の首のように、細長くて、くにゃっと曲がっているので鶴首。

近寄って写真を撮ると、こんな状態で仕事して下さっています。
↓  ↓  ↓  ↓  ↓
osaka_entrance_04

この職人さん(原さん)を含む京都の山本左官工業さんとは、僕が24歳の時から一緒に仕事をしてもらっているので、なんやかんやでもう24年間もお付き合いしていることになります。
いつもありがとうございます。

この現場ももう完成間近で、今月の20(土)と21(日)には完成見学会をさせて頂けることになりました。

本日、ホームページに見学会のご案内をアップさせて頂きましたので、ご興味のある方は下記ページをご覧頂けると嬉しく思います。

大阪市S様邸 古民家再生工事 完成見学会のお知らせはこちら
(2019.04.20-21 開催)

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土壁の工程/兵庫県丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

丹波市のY様邸・民家再生現場では、大工工事とともに少しずつ土壁の左官工事も進んでいます。

荒壁が乾いた壁から貫伏せをし、さらに乾かしてから中塗りへと進めています。

nukibuse

土壁は大雑把に言うと、下塗り/中塗り/上塗りの3層構成になっています。

( ↑ わかりやすくするために、あえてすごく大雑把な説明にしています。
確かに層としては上記の3層による構成になっていますが、
工程としては、貫伏せ・ちりまわり・底埋めなど、もっとたくさんの
手間がかかります。グレードによって手のかけかたも変わります)

上の写真で言うと、ひびが入っているところが荒壁(あらかべ)と言われる下塗りの層。
下塗り(=荒壁)の土は、粒子が粗くて粘度の高い土を使います。

また、一度に塗りつける土の厚みもそれぞれ違っていて、下塗り>中塗り>上塗りという具合に、工程が後になればなるほど塗りつける土の厚みも薄くなり、土の粒子も細かくします。

 

下の写真は中塗りが終わって扇風機で乾かしている壁を写したものですが、上の写真の荒壁の部分と比べると、土の粒子が細かい様子がお分かりになっていただけると思います。
(画像をクリックすると拡大できてより一層わかりやすいです)

nakanuri
荒壁は塗り厚も大きいだけあって、水を多く含んでいるため、乾燥収縮の巾も大きく、ひびが入って割れてしまうというわけですが、粘度が高いのではがれずにちゃんと残ります。

現場で観ていると、荒壁もざくざくとした感じがなかなか良いのですが、中塗りが始まってくると一気に肌理が細かくなって緊張感が出てきます。

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