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木造建築と石場建て伝統構法の建築家【東風】(大阪、京都、兵庫、東京)

古民家風内装に全面リフォーム /東京都世田谷区HEADLINE

概要・コンセプト

築後20年を経た中古住宅を購入されたY様。
外装は前所有者の手入れが行き届いていたため、主に内装を自分たちの好きな古民家のような雰囲気にしたい、というご意向をお持ちでした。
構造補強とデザインを兼ねて古材の梁を購入し、ご夫妻が気に入った古建具も使っています。
構造材や床板・建具などは古色塗装で統一し、外観からは全く想像できないような落ち着いた仕上がりとなりました。

在来工法の構造特性に合わせた耐震補強工事を行いました。
本物件は住宅ローン減税対象物件です。

世田谷区古民家風リフォーム写真_着工前の写真before 世田谷区古民家風リフォーム写真_竣工後の写真after


竣工後の写真

世田谷区古民家風リフォーム写真_玄関内観写真 世田谷区古民家風リフォーム写真_古材で補強したリビングの雰囲気
写真左:玄関内装
1階の床には新しく栗の無垢フローリング(厚み15mm)を張り、古色塗装して仕上げています。右側に見える格子戸は古建具を再利用したもの。東京・新木場のひでしな商店さんで購入した目板格子戸です。

写真右:リビングからキッチン方向の見返し
大屋根の棟の真下に柱が全く入っていなかったため、2階の梁が垂れて床が下がっていました。今回のリフォームで、その荷重をきちんと受けられるようにエンジュの古材柱を立て、チョウナのハツリ目が残る松の角梁で補強しました。これらの補強材は設置が大変だったのですが、羽田野工務店の大工さんがきれいに納めてくれました。


世田谷区古民家風リフォーム写真_造付け食器棚と特注の無垢板ダイニングテーブル 世田谷区古民家風リフォーム写真_紙貼り障子と襖と補強古材
写真左:2.4mのダイニングテーブルと造付の食器棚
ダイニングキッチンには長さ2.4mと通常よりも長いダイニングテーブルを製作しました。ご自宅で仕事をされることも多い奥様のために、作業中の資料を片付けなくても食事の用意がしやすいように、と考えてご提案したものです。
食器の一部が飾り付けられるように、食器棚の建具には一部だけ透明ガラスを入れました。

写真右:リビングの障子と襖
垂れ壁の中に入れた松丸太の構造補強材をそのまま見せています。障子と襖も新調したものですが、襖の向こうは子供室になっていて、襖は全て引き込めるようにしています。


世田谷区古民家風リフォーム写真_テレビボードを兼ねた本棚

リビングボードには大きな扉が5枚備えてありますが、この中にはご主人と奥様の蔵書とCDがびっしり納まるようにしてあります。左の格子戸は玄関に通じる目板格子戸(古建具を購入)。
右の障子はもともとこの家にあったものを古色塗装して再利用しました。

世田谷区古民家風リフォーム写真_腰付紙貼り障子

この障子の向こうには、20年前に設置されたアルミサッシが入っています。部屋の雰囲気を損ねないように、とご主人が障子を所望されました。少し落ち着いた雰囲気になるようにと考えて低めの腰板を入れ、縦長の枡に組子を組んでいます。(青く写っているのは光線の具合によるもので、実際は青くありません)

世田谷区古民家風リフォーム写真_古材梁と襖の間仕切建具

垂れ壁の中に埋め込まれている古材の梁は、2階の荷重を受けるために今回の改修に際して設置したものです。
樹種は松。曲がった梁の輪郭がきれいに見えるように、垂れ壁はあえて真っ直ぐ水平にして、軽く見えるように壁留めは塗りまわし仕上げとしました。

世田谷区古民家風リフォーム写真_間接照明と古建具 世田谷区古民家風リフォーム写真_押入の背高襖

写真左:寝室入口見返し
寝室の照明は鴨居の上に設けた間接照明のみを用いています。寝室はやや照度を落して柔らかな光が広がる空間の方が、リラックスしてゆっくり休めます。

写真右:寝室押入の襖と中連の障子
押入には天袋を設けることが多いのですが、ここでは天井まで1枚の背高の襖をつくり、押入の中で3段に仕切っています。こうすることで建具の枚数が減って費用を少し安く抑えられるだけでなく、見た目にもすっきりするという利点があります。

工事中の写真

世田谷区古民家風リフォーム写真_着工前の状況
改修前の建物はこんな感じでした。築20年の在来工法で、各部屋が小さく間仕切られた3DKの間取りです。
柱の配置の関係で2階の荷重を受けきれていなかったため、2階の床が部分的に3cm沈んでいました。
今回の改修では、間仕切壁の位置を変えて広く感じられる開放的な間取りにし、最も大きな荷重のかかる大屋根の棟の直下に柱を入れて補強してあげることを軸にしてプランを立てました。


世田谷区古民家風リフォーム写真_耐震補強
リフォームの場合に難しいのが、往々にして基礎の耐力があまり大きくないことです。
耐力壁だけを強く・固くしても、その下の基礎に過度の応力がかかると、そこで構造バランスが崩れてしまいます。
今回は幸いにして既存の土壁が残っていましたので、それを極力壊さずに残しておき、柔らかな壁も耐力壁として作用してくれるように構造計画をしています。
地震などの水平力が作用した際に引き抜き力がかかる柱には、このような補強プレートを設置しました。


世田谷区古民家風リフォーム写真_古材の柱を購入 世田谷区工事中写真_古材を使った構造補強作業
写真左:エンジュの古材柱
新木場のひでしな商店さんへ、構造補強に使う柱・梁と古建具を探しに行きました。写真中央の貫穴やハツリ目が残っている柱をリビングに建てることにしました。

写真左:古材の柱と梁で2階床梁組を補強
1階の間取りの関係で大屋根の荷重を支える柱が適切に配置されていなかったため、2階の床が最大で30mm沈んでいました。これを解決するため、リビングに松(古材)の梁を架けて2階の床梁を補強し、さらにそれを下から支える形でエンジュ(古材)の柱を建てました。


世田谷区古民家風リフォーム写真_建具の吊り込み作業1 世田谷区古民家風リフォーム写真_家具設置作業
写真左:先述のひでしな商店で購入してきた格子戸を、1枚は玄関〜リビングの間仕切戸として、もう1枚はリビング〜寝室の間仕切戸として使いました。高さが少し足りなかったので、下桟を付け足して調整しています。

写真右:リビングボード(家具)の設置
リビングの壁面には書籍やCDがたくさん収納できるリビングボードを吊戸棚として設けました。


世田谷区古民家風リフォーム写真_建具の吊り込み作業

子供室とリビングの間を間仕切る建具は、子供が誤って破ってしまわないように、ベニヤで捨て張りを施しています。
最終的には、この捨て張りベニヤの上に襖紙(鳥の子紙)を張って仕上げました。見た目には襖のような雰囲気のあか抜けたデザインです。


世田谷区キッチンタイル張り工事
キッチンの壁面には、大理石の小さなモザイクタイルを貼って、濃い目のグレー目地で仕上げました。タイルの目地は白色がきれいなのですが、やはり使っているうちに汚れやカビが目立ってくるので、目地の色を濃い目のグレーにして汚れを目立たなくする手法をよく用います