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民家再生の構造について―伝統構法の建築家【東風】/大阪、京都、兵庫

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民家再生・リフォームの構造補強についてHEADLINE

まず最初に確認することは、建物の構造種別。
柔らかい土壁をもつ伝統構法型建物(古民家)と、
固い筋交い壁をもつ在来工法型建物とでは、地震時の挙動が違う

阪神大震災の後、新聞・テレビ・雑誌などで盛んに言われたのが
「木造住宅の耐震補強をするためには、とにかく構造用合板(コンパネ)や筋交いを壁に打ちつけなさい」
ということでした。
確かに構造用合板や筋交いを入れて補強すると、構造計算上は建物の耐震性能が向上します。
実験データをみても、土壁に比べて構造用合板で補強した耐力壁の方が大きな強度を持っていることも明らかです。

ただ、構造用合板で補強された耐力壁をもつ建物(在来工法型建物)と、日本の伝統的な土壁の耐力壁で構成される建物(伝統構法型建物)は、性格や挙動が全く異なります。

下の図をご覧下さい
(画像をクリックすると、拡大表示されます)
伝統構法と在来工法の違いの図


このように、双方の耐力要素は言わば真逆の性状を持っています。
大切なのは、いま耐震補強しようとしている建物はこの2種類のうちのどちらなのか?を見極めることです。






築80年以上の民家再生の場合−全体を柔らかな構造体にする

まず築80年以上を経過している、伝統的な古民家の建物からご説明します。

このような建物は、大きく変形する時の木のめり込みが主な抵抗力となる仕組みです。
強度は小さいのですが、柔らかく・粘り強い性格をもっています。
大きな地震力を受けた時は、しなやかにギシギシと大きく揺れて力を吸収するイメージです。

詳しく構造解析をしてみると、このような建物は大きく変形するほど、建物の強度も大きくなっていきます。


土壁の変形と耐力の構造メカニズム









石膏ボード・合板が用いられている築40年未満の建物の場合
−筋交いや合板などの固い耐力壁で全体をガチッと固める

一方、筋交いや合板で補強した在来工法型の壁は、強度はとても大きいのですが、変形しにくくて固い性格です。
フレームと言うよりも面でできたガチガチの箱のようなイメージで、横から地震力を受けた場合には変形するよりも先に、回転して浮き上がろうとする回転モーメント力が発生します。


筋交い耐力壁の構造耐力メカニズム


壁に立てかけた合板をあなたが横から押したらどうなるか?という姿を想像してみてください。
きっと上の図のように合板は変形せずにそのままの形で回転しようとしますよね?

また合板で構成される耐力壁は、大きな変形には耐えられません。
なぜかというと、大きく変形した場合、合板や筋交いなどを固定している金物(釘・ビスなど)が抜けたり切れたりしてしまい、耐力要素自体が構造フレーム(柱・梁など)から外れてしまうからです。


構造補強の際には、これらを混在させないことが重要

上記のように、言わば真逆の性格をもつ耐力壁を混在させることは、とても危険です。
耐震性能のバランスが悪くなるだけでなく、様々な弊害が起こることも予見されます。
ですから伝統構法型軸組みである古民家を耐震改修する際に、詳しく検証せずに在来工法型のやり方である筋交いや合板で補強することは避けた方が賢明です。

2種類の耐力要素が共存する構造体に大きな地震力が加わった場合、建物の挙動にねじれや変形が発生したり、一時的に局部への過大な耐力集中を招くなどの弊害が発生するケースも考えられるためです。

その説明図を下にご用意しました。
図をクリックすると拡大表示されます。


伝統構法建物の構造補強メカニズム

古民家再生工事の際に耐震改修工事を行った事例の物件写真はこちら→竣工事例ページへ

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