丹波市築80年の古民家を2世帯住宅として再生」カテゴリーアーカイブ

兵庫県丹波市にある築80年の古民家を3年がかりで再生しました。
奥様のご実家であるこの古民家に、3世代7人の家族が同居することになりました。
農業を生業とするY様のお宅にも、やはり薪ストーブを設置したことで、大変過ごしやすくなりました。

丹波市Y様邸/古民家再生工事 竣工写真-アマチュア編

2013/4/14(日)に兵庫県丹波市の古民家再生現場にて、完成見学会を開催させて頂きました。

見学会開催を快諾して下さった建築主のY様、ならびに当日現地へご来場頂いた皆様、誠にありがとうございました。

見学会の日、空いている時間にちょっとだけ写真を撮影しましたのでご紹介します。

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建物外観。築後80年を経ているそうです。

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玄関土間には薪ストーブを設置しました。

右手に見える2脚の椅子に、おじいさんとおばあさんがいつもちょこんとおすわりになって寛がれているそうです(Y様談)。

 

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1階座敷の障子
今回は全く手を加えていない、既存のままの障子です。
慌てていたので、書院の障子の後ろのものをどけずに撮ってしまいました。

 

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2階寝室内観。
入母屋屋根の妻壁を照らすように間接照明を入れました。
この部屋の照明はこれだけです。

 

今回は、工務店さんが手配して下さった写真家の方に竣工写真を撮って頂けることになったため、僕のアマチュア写真は4枚だけです(苦笑)。

竣工写真が届いたら、またご披露しますね。
どうぞお楽しみに。

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薪ストーブで快適になりました♪/丹波市築80年古民家再生工事

昨日は、兵庫県丹波市のY様邸現場へ行っていました。
道中は雪が舞っている寒い日でしたが、家の中はすでに薪ストーブが大活躍していて、全然寒くありません。

今回の再生工事に取り掛かる前は、一部屋の建具を締め切った状態で灯油ストーブをガンガン焚いていても、まだうすら寒いような感じでしたが、今は5部屋分の全ての建具を開け放って、焚いているのは薪ストーブ1台だけ。
「工事前と後とでは生活がガラッと変わってしまった。
ホンマに薪ストーブ入れて良かったです(喜)。」
というY様の声を聞くことができて、こちらもすごく嬉しかったです。

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玄関土間で活躍中の HAMPTON 社製薪ストーブ。

針葉樹もお構いなしでガンガン焚ける、頼もしいタフなストーブです。

昨日現場へ着いたときは、ちょうど奥様が床にオイルを塗られているところでした。

塗料として使用しているのは、塗りやすくて体にも安全なキヌカです。(↓)

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2階の子世帯の居間にも畳が敷かれ、少しずつ家具やおもちゃが入ってきました。

工事の前には低い天井が張られていて納戸としてしか使えなかった空間も
天井を取り払って梁を露出させたおかげで、明るく開放的な気持ちよい
空間になりました(↓)。

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暗くなるとガラス窓を通して中の光がこぼれてきます。
なんとなくほっこりしますね。

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こちらのお宅、4月に完成見学会を開催させて頂くことになりました。

また改めてお知らせしますね。
どうぞお楽しみに。

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自分たちの痕跡を残す/丹波市古民家再生・耐震改修工事

古民家再生中の現場で、先週外部犬走りのコンクリートを打設しました。

コンクリートが固まってしまう前に、クライアントご家族のみなさまが
みんなで揃って手形を押したり、名前や年月を彫ったりしました。

その時に写した写真です。

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コンクリートが凍ってしまうのではないか?と心配するほど冷えた夜でしたが
ご家族のみなさまにとって、とてもいい思い出になったと思います。

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荒壁の質感/兵庫県丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

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上の写真は、古民家再生中の現場で乾燥を待つ荒壁(あらかべ)を撮影したものです。
(兵庫県丹波市・Y様邸現場にて)

荒壁とは、竹小舞で編んだ下地の上に最初につける、下塗り用の土壁のこと。
下塗り用の土なので、土の粒度やつなぎ材としてのワラスサなど、構成材がざっくりとしていて荒々しい表情です。

通常は、この荒壁の上に、もう少し肌理の細かい中塗り土を重ね塗りし、
場合によってはその上に上塗りをかけて仕上げます。
(東風では上塗りをかけないことも多いです)

 

最近、荒壁の表情豊かな、勢いのある質感にとても惹かれます。

荒壁について考えるなら、やはり再度、待庵(※)を観に行かねばならないなぁ・・・
などと考えている今日この頃です。

(※)待庵とは、千利休がつくったと言われる茶室の中で唯一現存している茶室のことです。
待庵の茶室の内壁は、荒壁で仕上げられています。

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土壁の工程/兵庫県丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

丹波市のY様邸・民家再生現場では、大工工事とともに少しずつ土壁の左官工事も進んでいます。

荒壁が乾いた壁から貫伏せをし、さらに乾かしてから中塗りへと進めています。

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土壁は大雑把に言うと、下塗り/中塗り/上塗りの3層構成になっています。

( ↑ わかりやすくするために、あえてすごく大雑把な説明にしています。
確かに層としては上記の3層による構成になっていますが、
工程としては、貫伏せ・ちりまわり・底埋めなど、もっとたくさんの
手間がかかります。グレードによって手のかけかたも変わります)

上の写真で言うと、ひびが入っているところが荒壁(あらかべ)と言われる下塗りの層。
下塗り(=荒壁)の土は、粒子が粗くて粘度の高い土を使います。

また、一度に塗りつける土の厚みもそれぞれ違っていて、下塗り>中塗り>上塗りという具合に、工程が後になればなるほど塗りつける土の厚みも薄くなり、土の粒子も細かくします。

 

下の写真は中塗りが終わって扇風機で乾かしている壁を写したものですが、上の写真の荒壁の部分と比べると、土の粒子が細かい様子がお分かりになっていただけると思います。
(画像をクリックすると拡大できてより一層わかりやすいです)

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荒壁は塗り厚も大きいだけあって、水を多く含んでいるため、乾燥収縮の巾も大きく、ひびが入って割れてしまうというわけですが、粘度が高いのではがれずにちゃんと残ります。

現場で観ていると、荒壁もざくざくとした感じがなかなか良いのですが、中塗りが始まってくると一気に肌理が細かくなって緊張感が出てきます。

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改修工事をしながら部分使用/丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

まさに晩秋という言葉を実感するようになってきました。
日に日に寒くなってきますね。

現在、兵庫県丹波市で改修工事中のY様邸では、これまで仮設のユニットバスをお使いいただいて入浴をして頂いておりましたが、今週からお風呂と洗面所だけは竣工に先立ってお使いいただけるようになりました。

今週現場に行ったら、なかなかいい感じの洗面所に仕上がっていたので、すでにお荷物が入ってしまっていますがちょっとだけ写真をご紹介します。

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カラフルなタオルがかわいいですね。

床は杉の無垢材フローリング(厚み30mm)張り仕上げ。
洗面器はカクダイという会社の陶器製洗面器に合わせて、現場で大工さんに桧で脚を作ってもらいました。

壁面のタイルは東風スタッフのOさんが考えて、100mm角の白いタイルと25mm角のモザイクタイルを交互に並べて貼って欲しい、とタイルを貼ってくれた左官屋さんにお願いしたものです。

左官屋さん、普通のようにちゃっちゃと貼るわけに行かず、なかなか苦労されたことだろうと思うのですが、おかげさまで楽しげな雰囲気になりました。
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薪ストーブの煙突が立ちました/丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

兵庫県丹波市のY様邸古民家再生工事現場へ行ったところ、薪ストーブの煙突が新たに立っていました。
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なんだか
「よっしゃあ~、これからガンガン焚くぞ~」
とまるでこの家が言っているかのような位置・形だなぁ~、なんて思いながら眺めていました。

今回の薪ストーブは玄関の土間に設置する予定です。
ですから、煙突の根元の下には玄関土間が広がっています。

このお宅を訪問される方は、ちょうど僕が写真を撮った位置からこの家にアプローチしていく感じです。

 

2階の壁には荒壁がつけられて、一部を塗り残して竹小舞下地が見えるようにしています。

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タテ貫(ぬき)がすでに仕込まれていた関係で、全体にちょっと右よりの下地窓に
なってしまいました。
下地窓の下にある削られた梁は、30年前の工事の際に梁がハツリ取られていたので今回大工さんがはつられていた面だけを仕上げてくれた痕です。

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古民家再生と古建具購入/兵庫県丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

兵庫県丹波市で進行中のY様邸 古民家再生工事では、2階に新しく設置する木製建具がたくさんあります。

ただ柱や梁などの構造材は古いままで、創建当初に施された古色塗りが残っているので、ここへ真新しい建具をたくさん持ってくると、見た目になじみにくいばかりでなく、かなり価格が高くなってしまいます。

そこでご提案したのが、古い建具を購入してきて設置する方法です。

新築物件の場合は、古い建具は建具巾の寸法が合いにくく、だからと言って建具を切り縮めたり大きくしたりするのにはかなり手間(=コスト)がかかるため、古建具をうまく使うのはなかなか難しいことが多いです。

 

しかし関西の古民家の場合は畳の大きさがほぼ一定だった(=規格化されていた)ため、建具寸法もそれに合わせてほぼ決まった寸法で作られていることが多く、古民家再生の場合は古建具を利用しやすいのです。

しかも、新しく建具を作ると板戸1枚あたり5-6万円かかってしまうところが、古建具を買ってくると2-3万円ですみます。
(註:材料や傷などの程度によって価格は変わります)

 

東風で古建具を探しに行く時にお世話になるのが、京都の井川建具店さん。
ものすごい数の古建具を常備されています。

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今回のY様邸で使う建具としては、格子が使われている間仕切り建具を中心に探してみました。

部屋を暗くしたくなかったため、というのがその理由ですが、個室を仕切る機能も果たしてもらわなくてはならないので、紙障子では少し物足りず、一部が板張りになっているものをピックアップしたというわけです。

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↑ こんなものや

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↑ こんなものなどです。

先週現場で行われた定例打合せの際に、Y様に写真をお見せして、デザインや機能がお好みに合うかどうかを確認したところ、概ねこの方向で問題ない、とのこと。

今回探した上記の建具は、残念なことに必要枚数が少し足りなかったので、建具の大きさや必要枚数などを井川建具さんに伝えておいて、次回仕入れの際に良さそうな建具があったら取り置きしておいてもらえるようにお願いしてきました。

いい建具が入ってくるといいなぁ・・・。

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竹小舞下地に荒壁をつけました/丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

兵庫県丹波市内で進んでいる、Y様邸古民家再生工事。

今週現場へ行ったところ、すでに編めていた壁の竹小舞下地に荒壁(あらかべ)がつけられていました。
荒壁とは、下塗り用の土です。

下の画像は、塗りつける前に現場内で寝かせて熟成(?)させている壁土の様子です。

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今回の荒壁は、古民家を解体した際に出てくる古い壁土を残しておいたものを使っているため、真新しい土だけを練って置いておく場合に比べて、こなれるのが早いです。
色もすぐにグレーに変色していました。

 

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上の写真2枚は、荒壁を片面だけつけた壁下地(裏側)の状態。
写真だけではちょっとわかりにくいですが、竹と竹の間から、塗りつけられた壁土が少しはみ出しています。

下の写真は、塗りつけた面を撮影した写真です。
良くこなれた土なので、色がすっかりグレーになっています。

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荒壁表面の様子(↓)

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今回片面のみ塗りつけた荒壁が乾燥したら、次に裏返しといって反対側から荒壁を塗りつけます。
おそらく裏返しができるのは3週間くらい先かな。

その時に塗りつけるための荒壁用の土が現場内のプールに仕込まれていました(↓)。

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この土も解体工事の際に出てきた古い土を使っているそうですが、この土は練り合わせてからまだ1日しか経っていないそうなので、普通の土の色をしていました。

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想定外の構造補強と設計変更/丹波市古民家再生・耐震改修工事・2世帯住宅

兵庫県丹波市で進行中のY様邸/古民家再生工事について。

昨日書いた記事では1階床組のことについて採り上げましたが、同時に2階では既存天井・壁の撤去工事が行われました。

 

このお宅は築後約80年を経ているとのことなのですが、母屋の2階はどうやら30-40年前の改修工事で天井が張られた模様で、これまで主に納戸や物置として使われていました。

今回はY様ご家族が1棟に2世帯で住まわれることになるため、2階を収納スペース→居住空間につくりかえる計画です。

まずはこれまでに張られていた2階の天井を剥がし、構造体を露出させます。

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↑ 解体前には、赤線の位置に天井が張られていました。

壁や天井に張られていたベニヤなどの新建材を剥がしてみると、前回のリフォームの際に構造材をハツリとって傷めていた部分があることもわかってきました。

そこで当初の計画を若干変更。

ハツリ取られて弱くなってしまった梁の、荷重がかかっているポイントを支えてあげられるように、新たに柱を新設することにしたり、それに伴って当初予定していた片引き戸の出入口の位置を変更したり。

他の農家型古民家でも良く見られるケースですが、この家の2階も、天井高さ=1.8M~2.0Mくらいの狭苦しい空間でした。
その既存天井を取っ払い、最終的には小屋組み材(梁・桁・母屋など)を室内に露出させるデザインにします。

まだほこりをかぶっているのであまりきれいではありませんが、イメージ的には下の写真のような感じになります。

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2階の天井を撤去してみると、梁・桁の継ぎ手の位置も良くわかるようになってきました。

調査段階では天井裏に潜れなかった箇所もありわからなかったのですが、先ほど一部がハツリ取られていた桁行き方向の梁は、実は長さ10Mの1本物だったことにY様の奥様が気付かれました。
(↑ 僕より先に奥様の方が気付かれました。すごい!)

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古民家の再生工事においては、解体工事が進むにつれて、いろんなことが見えてきます。
もちろん着工前に可能な限り調べてから工事に臨むのですが、どうしても調べきれないところもあります。

何か想定外の問題点などが出てきた時に、工事をスムーズに進められるように調整することも設計者の役割のひとつですが、工事中にいつも現場にべったりへばりついていることができない我々設計者にとって、信頼できる施工者(=工務店さん)が工事をしてくれていることは大変心強く感じます。

今回施工を担当して下さっている有限会社すぎもと工務店さんの杉本社長とは、ずいぶん以前からボランティアの活動を通して気心が知れているので、そのあたりはすごくやりやすいです。

クライアントのY様、すぎもと工務店のみなさま、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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