奈良県御所市 宝湯再生PJ

御所市内で銭湯復活プロジェクトの改修工事を進めています

奈良県御所(ごせ)市内に、御所まち(ごせまち)と呼ばれるエリアがあります。
江戸時代の街区が今もそのまま残っており、多くの古民家が面的に広がる街区です。

→ 奈良県 御所まちって?(御所市のサイト)

御所市としては、古いまちなみを活かした魅力的なまちづくりを進めていこうと様々な取り組みを進めている最中なのですが、その一つとして現在、御所まちエリア内に点在する4軒の古民家を、さまざまな商業施設(※)として再生するプロジェクトに東風も関わらせて頂いています。
※ 古民家ホテル、レストラン、銭湯など。
  事業主は(株)御所まちづくり様

東風では、大正時代から御所まちの中で営業をされてきた、宝湯(たからゆ)という銭湯の改修工事を手掛けさせていただいています。

宝湯はすでに廃業されてしばらく時間が経っていたので、いろんなところで建物がダメージを受けていたのですが、もっとも特徴的だったのが外観正面の入母屋(いりもや)屋根部分の陥没です。

上の写真を見て頂くとおわかりかと思うのですが、矢印の部分で屋根が陥没し、中央に見えている三角屋根(入母屋)の部分が右に傾いています。

室内から天井をめくって調べてみたところ、長い間屋根が雨漏りをし続けた結果、構造材である桁(けた)と柱・土台に水が回って、腐りとシロアリによる被害を受けていたことがわかりました。

ちょうどこの工事にかかわらせて頂くお話を頂いた時期が
「これからどんどん台風が来ますよ~♪」
という9月上旬だった(汗)ので、まずはとにかく慌てて仮の補強(突っ張り)工事をチャチャっと行いました。↓

この作業を行うことで
台風に伴う大量の雨風によって屋根が水を含んで重くなり
→ 重くなった屋根の自重を支えきれずにグシャッとつぶれてしまう
という最悪の事態にならないように・・・ということへの対策はできました。

次に本格的な修理工事です。

屋根瓦を降ろして荷重を軽くしたうえで、傾いていた屋根の修正をするためのジャッキアップをし、骨組み=構造材(梁・桁・柱・土台)の入替えや補強工事を行います。↓

骨組み工事が完了して、きちんと荷重を支えられるようになったら、次に屋根の下地工事を行いました。

腐っていた垂木(たるき)や野地板(のじいた)などの屋根下地材を入れ替えて↓

ルーフィング(屋根の防水材/写真中グレーのシート部分)を葺きなおし、瓦を葺きなおすための桟木(さんぎ)を打ち付けていきます。↓

最後に、下ろした古い瓦を屋根の上にもう一度上げて葺きなおしたら完成です。

冒頭で申し上げた通り、今回は古いまちなみを活かしたまちづくりの一環なので、瓦も新しいものを使うのではなく、既存の古い瓦をていねいに解体して保管しておき、それを再利用して屋根を葺き直しました。↓

無事、こんな感じでシャキッとした屋根ができました♪↓

大正時代から御所のみなさまに愛されてきた宝湯が、新しい形で輝きを取り戻し、将来のまちの魅力の一つとなるように、当社としてもできる限りのことをさせて頂くつもりです。

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